薔薇(赤)の花言葉にまつわるお話

薔薇(赤)

写真撮影:青木繁伸(群馬県前橋市)

薔薇(赤)の花言葉は、「愛」。

愛と美の女神、ヴィーナスと愛し合った絶世の美少年アドニスは、狩に出かけるのが大好きで、身を案ずるヴィーナスをことあるごとに心配させておりました。

猟犬を引き連れて今まさに狩に出かけようとするアドニスに、絡みつくようにして思いとどまらせようとしているヴィーナスの図柄は、ルーベンスやティチアーノをはじめ、たくさんの画家達が描いていますね。

さてヴィーナスの悪い予感は的中し、猪に化けたヴィーナスの本来の恋人、軍神マルスによって倒されてしまいます。

アドニスの断末魔を聞きつけ、駆けつけるヴィーナスでしたが、白い薔薇の茂みに脚を取られ、倒れ伏してしまいます。

アドニスの流した血からは真っ赤なアネモネの花が咲き出し、薔薇のとげで傷ついたヴィーナスの流した血は、白い薔薇のお花を真紅に染めたということです。

激しく情熱を帯びた真紅という色は、人々に血の色を想起させながら、心の在りどころである心臓が恋のマークとして可愛らしいハート型に転じていったように、真っ赤な薔薇もいつか愛の真心を象徴するお花になっていったのでしょうか。

「愛」を花言葉に持つ薔薇(赤)は、こんな花です

薔薇(赤)は、バラ科、バラ属の常緑低木です。

原種の薔薇は、一重咲きの愛らしい、イチゴや桜のお花の親戚と一目でわかる姿をしていますが、現在見るドラマチックな赤い薔薇には、その清楚な面影は微塵もありません。

お花の品種改良に寄せる人々の情熱には感嘆するばかりです。

真っ赤な薔薇は、豪華な花束にしても、一輪だけを小さな花瓶に挿しても、それぞれの美しさがありますね。

薔薇の花びらをじゅうたんのように敷き詰めたり、そんな贅沢を尽したお姫様達のお話もありますが、ここは敢えてたった一輪の赤い薔薇にまつわる物語をひとつ、ふたつ。

例えば、サン・テグジュペリの「星の王子様」。

ことあるごとに故郷の星を思い出し、王子が気遣っていたのは、その星に残してきた赤い1本の薔薇でしたね。

虫がつけば取ってやり、寒さの日にはガラスの覆いをしてやる愛らしい気遣いが、素朴な挿絵とともに描かれていました。

「本当に大切なものは、目に見えないもの」と語った狐の謎かけのような言葉の答えは、やっぱり愛だったのでしょうか。

そして王子の薔薇は、王子の愛の象徴でもあったのでしょうか。

たった一輪の赤い薔薇が、深い愛の象徴として描かれた物語として、もう1つどうしても忘れられないのは、オスカー・ワイルドの「ナイチンゲールと薔薇」です。

有名な「幸福な王子」とともに数篇の童話集として紹介されたこの物語は、一羽のナイチンゲールがとある学生に一目惚れをするところから始まります。

美しい顔を曇らせながら、教授の娘の愛を射止めるために必要な真っ赤な薔薇が見つからないと嘆く学生を見て、ナイチンゲールは赤い薔薇をこの青年のために探そうと飛びたちます・・とても短いお話ですが、その後の展開はドラマチックでとても重く、ひたすら哀しい結末なのですが、それでもどこかに救いを見出す事ができるなら、「愛されることより愛することを選ばせてください」と願う、アッシジの聖フランチェスコの祈りを思い起こすのがよいでしょう。

無償の愛ほど、強いものは無いのです。

ヨーロッパのとある街の空港で、1輪の真っ赤な薔薇を手に到着ロビーに佇む青年の姿を見かけました。

今か今かと待ちわびる顔が上気して、この薔薇を受け取る人はどんな人かしらと想像を膨らませつつ、二人の将来が幸せでありますようにと願わずにはいられませんでした。

薔薇(赤)の花言葉から貴方を占うと・・・

愛は、限りなく純粋なものです。

誰かを真剣に愛しているあなたは、くもりのない心で相手をひたすら思い遣ることでしょう。

恋する心には、駆け引きや疑い、嫉妬など、はらはらどきどきがつき物ですが、愛はその全てを凌駕します。

細かいことを心配しあうのをやめて、お互いを大切にして。

深く澄み切った愛を育てあげたとき、人は最も美しく輝くのです。