エリカの花言葉にまつわるお話

エリカ 花言葉 写真

写真撮影:青木繁伸(群馬県前橋市)

エリカの花言葉は、「孤独」。

エリカの英名Heath(ヒース)には、荒野そのものを示す意味があり、スコットランドやアイルランドの郊外では、夏になるとこのヒースが一斉に花を開くので、小高い丘の連なる風景は、不思議な赤紫色と灰緑色で一面に覆われて、遠く霞のように広がる風景は圧巻です。

ヒースの茂る荒野は、羊の放牧ぐらいにしか使われない不毛の地と思われがちですが、その環境に住む人々は昔から、ヒースの恩恵を受けるすべをちゃんと知っていました。

その代表的なひとつが泥炭です。

ヒースの荒野は、枯れたヒースが歳月をかけて堆積した泥炭に覆われていて、その土を掘り起こして乾燥させると、暖炉や泥炭ストーブに欠かせない燃料になるのです。

泥炭の暖炉は、遠赤外線の柔らかな熱を放ち、火持ちもとても良く、独特のくすぶるような懐かしい匂いがします。

夏でも雨の日や夜は冷え込むスコットランドやアイルランドでは、泥炭は年中、優秀な燃料として普通に街角で売られています。

泥炭の燃える暖炉は、ヒースの花言葉「孤独」がそのまま景色になったような風土の中にあってこそ、五感を満たし、心の底に染み入るような暖かさをもたらす、自然からの滋味深い恩恵なのです。

「孤独」を花言葉に持つエリカは、こんな花です。

エリカは、ツツジ科、エリカ属の常緑小低木。

エリカ属は世界に700種以上の品種があり、そのほとんどが南アフリカ原産で、残りの1割ほどがヨーロッパや地中海周辺などに自生しています。

日本で園芸用に売られるエリカは、蒸し暑い日本の夏にも耐える、南アフリカ原産の品種が多いそうですが、お花の姿形は、ヨーロッパのヒース達にもとてもよく似ています。

荒れ野のヒースは、多くの小説家に好まれたモチーフなので、西洋文学のお好きな人は、あちこちでお目にかかっていることでしょう。

荒野にさまようジェーン・エアを優しく包み、夜の宿となったのもこのヒースでした。

フランス近代の作曲家、ドビュッシーのピアノ曲、「ヒースの茂れる荒地」は、印象派の絵画を見ているような色彩豊かな調べに、目を瞑ると風景が浮かぶようです。

スコットランドのヒースにまつわるお話では、かの地の先住民族であったピクト人の伝説の飲み物、ヒースエールにまつわる物語があります。

スコットランドといえば、イングランドに対抗する独自の文化を持った、気骨逞しいケルト人の地となっていますが、彼らスコットランド人が定住する前のさらに古い時代には、ピクト人という先住民族が住んでいたのです。

このピクト人達は、ヒースの花と麦芽を使った独特の処方で醸造したヒースエールというビールを飲んでいて、その製法はピクト人のビール職人親子秘伝の技でした。

彼らを制圧したスコットランドのケネス王は、ヒースエールの製法を求めて何とか親子の口を割らせようとしましたが、命乞いをすることもなく、親子は最後まで秘密を守り通したため、ヒースエール醸造の秘密はそれきり、永遠にこの世から失われてしまったということです。

このようにして、失われた文化が、歴史の中にはいったいどれほどあることでしょう。

ただし一説によると、このヒースエールには、幻覚を引き起こしたり媚薬となったりする麻薬効果があったそう。

もし伝えられていたとしても、あまり歓迎されるべきレシピではなかったのかもしれません。

ヒースの飲み物といえば、不思議にひなびた香りのするハーブティーは如何でしょう。

ラベンダーや少しのハッカなどと組み合わせれば、彼の地の荒野の香りをほっと一服、楽しめることと思いますよ。

その花自体はとても地味な存在で、切花でもメインに使われる事はほとんど無いエリカ。

でも、たまにはそのエリカだけの花束を大きな花瓶にたっぷり活けて、またはお庭に植えたエリカの広がる花穂を見ながら、文学の世界に思いを馳せてみるのも、ちょっと素敵かもしれませんね。

「孤独」の花言葉から貴方を占うと・・・

喧騒を嫌い、静けさを愛する人。

深まる秋の思索や、黄昏の沈み行く景色の似合う人。

孤独の中にある神聖な安らぎ、透明な喜びを知っているあなたは、普通の人から見ると、一風変った様子に見えてしまうかもしれません。

けれど、そんな他人のうわべだけの評価に、あなたは動じる必要はありません。

あなたは、人間が嫌いなのではありません。

孤独を知っているあなたには、世間に振り回されない確固たる自分があり、またうわべは賑やかに振舞っていても、どこか片隅に孤独を抱えた人々の心の震えを、敏感に感じ取る繊細な感受性があるのです。